薄暗い部屋でノートパソコンの画面を見て青ざめ、口を開けたまま固まっているボスと、隣で静かに座る丸メガネの黒猫クロさん。「AIが教えてくれなかった、致命的な問題——13記事書いて、検索の入口はゼロでした」

第5話(前編): 一緒にブログを作ってきたAIが、致命的な問題を教えてくれなかった理由

AIで作ってみた
目次
  1. きっかけは、まったく別の相談だった
  2. 返ってきた診断
  3. なぜクロさんは、これを言わなかったのか
  4. ① 頼まれた役割が違った
  5. ② 見ていたものが違った
  6. ③ タイトルを一覧で並べる機会が、一度もなかった
  7. ④ 目的が伝わっていなかった
  8. 前編はここまで

きっかけは、まったく別の相談だった

最近、収益化への意識が明らかに強くなっています。

ブログを始めたころは、熱の置き場所が欲しかっただけでした。書けなかった自分が書けることが、ただ面白かった。

それが13記事を書くうちに、頭の中がだんだん金の話になってきました。アクセス数を見る回数が増えて、収益化の方法ばかり調べるようになっています。

ブログの名前が「よくばり日記」なので、そこは否定しません。

ただ、それ自体は悪くないと思っています。趣味で終わらせたくないからです。

だから、もっと効率よくやれないかと思って、AIをもう一つ増やそうか、と考えていました。

いま僕が使っているのはClaude Code、このブログで「クロさん」と呼んでいるものです。

同じようなものに、OpenAI(ChatGPTを作っている会社)が出しているCodexがあります。クロさんと同じで、パソコンの中で実際に手を動かしてくれるタイプです。

それを補助に入れたら作業が速くなるんじゃないか。

ブログを始めたころは「熱の置き場所が欲しかっただけ」だったのが、13記事を書いたいまは「頭の中がだんだん金の話になってきた」「アクセス数を見る回数が増えた」「収益化の方法ばかり調べている」に変わっていた、という対比図

そう思って、仕事用に使っている別のフォルダのClaude Codeに相談を投げました。

同じClaude Codeでも、フォルダが違えば別々に動きます。仕事用のほうは、このブログのことを何ひとつ知りません。第0話も、競馬の12日間も、ダイエットの記録も、一切見ていない完全な初対面です。

話の流れで、「ちなみにこれが僕のブログです」とURLを渡しました。軽い気持ちでした。

返ってきた診断

まず、褒められました。

Astroという仕組みで作られていること、アクセス解析が入っていること、記事ごとの説明文が丁寧に手書きされていること。目次が自動で出ること、プライバシーポリシーもお問い合わせも揃っていること。

「非ITの48歳が3週間で作ったサイトとしては、正直かなり優秀です」と。

いい気分になりました。ここまでは。

返ってきた診断でまず褒められた5つ——Astroという仕組みで作られている、アクセス解析が入っている、記事ごとの説明文が丁寧に手書きされている、目次が自動で出る、プライバシーポリシーもお問い合わせも揃っている。そして「非ITの48歳が3週間で作ったサイトとしては、正直かなり優秀です」という言葉

次の行がこれです。

最大の問題:検索で見つけてもらう入口が1本もない

そして、僕が書いた13記事のタイトルが、全部まとめて並べられました。

第0話: 48歳・土木一筋・非IT。ゲームしかしてこなかったおじさんが…
第1話: 18万円のMacBookをやめて、13万円のLenovoでAI生活を始…
第2話(前編): 「ドメインって何?」の48歳が、ブログの土台を組むまで
第3話(前編): ゲームでコインを増やす仕組みを作ろうとしたら…
第4話(前編): 10年以上前のニュースを真に受けて、AIと競馬の必勝法を…
(以下略)

読み物としての引きは強く、文章も上手い。ただし、この言葉で検索する人はいない。

読者が「AI ブログ 始め方」で検索しても、「第0話: 48歳・土木一筋・非IT。」というタイトルには言葉が合わずたどり着けない。検索語をタイトルの前に置いた記事を別に足せば入口ができる、という比較図

……。

正直なところ、そのときの僕は「ああ、そうなんだ」でした。

反省したわけではありません。検索する人がいるとかいないとか、そこまで考えたことがなかったのです。

記事がどうやって人に見つけてもらえるのか、その仕組み自体が分かっていませんでした。書けば誰かが読むもの、くらいに思っていたのだと思います。

「10年以上前のニュース 真に受けて 競馬」で検索する人は、この世に一人もいません。それを言われて初めて、検索という入口があることを考えました。

アドセンスもアフィリエイトも、検索から人が来ないと1円にもならないのだそうです。つまり僕は収益化を目指しているつもりで、13記事すべてを検索されない形で書いていたことになります。

ついでに、技術的な穴も実測で並べられました。

  • robots.txt(検索エンジンに「このサイトの地図はここです」と教えるファイル)が404、つまり存在しない状態でした
  • 記事一覧のサムネイル画像は0枚。本文に画像が入っている記事も、13本中3本だけでした(第2話後編にドメイン設定の実画面が2枚、ダイエットの記事にキャラクターの顔)
  • 構造化データが無い
  • パンくずリストが無い

正直に書きます。この4つのうち、意味が分かったものは1つもありませんでした。

パンくずリストって何だ、というところからです。

分かったのは「ダメだったんだな」ということだけでした。

あとで教えてもらった説明を、僕の言葉で書いておきます。同じところで止まる人がいるかもしれないので。

  • 構造化データ —— 記事の中身を、検索エンジンが読める形で別に書いておくもの。「これは記事で、書いたのは誰で、いつ公開した」と機械に申告しておく
  • パンくずリスト —— ページの上にある「トップ > ブログ > この記事」という並び。読者が今どこにいるか分かるし、検索エンジンにもサイトの形が伝わる

Search Consoleで確認すると、3週間で検索からのクリックは1回でした(7月25日)。ゼロではありません。でも3週間で1人です。

しかもこの1回、たぶん僕です。自分のブログがちゃんと検索に出るか気になって、自分で検索して開いた覚えがあります。

そして、そのrobots.txtは、指摘を受けたその日のうちに直りました。作業は5分でした。5分で直るものを、3週間放置していたことになります。

Search Consoleで確認した3週間ぶんの検索からのクリックは1回(7月25日)。ゼロではないが3週間で1人で、しかもその1回はたぶん自分。robots.txtが404だった件は、直すのにかかった時間5分に対して放置していた時間は3週間だった、という図

なぜクロさんは、これを言わなかったのか

ショックの次に来たのは、この疑問でした。

このブログは、記事もデザインもクロさんと一緒に作ってきました。何十回も相談して、何十回も直してもらっています。なのに、なぜ一度も「そのタイトルでは検索されません」と言われなかったのか。

僕の指示が下手だったのか。そう聞いてみたら、返ってきた答えがこれでした。

あなたの指示が悪いからではありません。置かれた立場が違うだけです。

「作って」「直して」と頼むと作業者として動き、手元のソースコードを見て目の前の1本を仕上げる。「収益化に有効か見てくれ」と頼むと評価者として動き、公開されたサイトを外から見て13本を並べて点検する、という対比図

理由は4つあると言われました。

① 頼まれた役割が違った

僕がクロさんに言ってきたのは、ずっと「作って」「直して」です。

だから作業者として動きます、と説明されました。作業者は目の前の仕事を最善にしますが、そもそもこの企画は儲かるのか、とは言い出さないのだそうです。

仕事用のほうには、僕は「収益化に有効か見てくれ」と頼みました。だから評価者として答えた、とのことでした。

役割が違えば出す答えも変わる、と言われて、そこでようやく飲み込めました。

ここで、職人さんのことを思い出しました。現場の職人さんは、頼んでいないことまで教えてくれます。

「その納まりだと後で困るよ」「その順番だと手戻りするよ」と、聞いてもいないのに言ってくる。長年やっている職人さんほど、そうです。

クロさんは、それを言いませんでした。そこが違いました。

現場の職人さんは「その納まりだと後で困るよ」「その順番だと手戻りするよ」と聞いてもいないのに言ってくる。一方クロさんは何も言わず、作業者は目の前の仕事を最善にするが「そもそもこの企画は儲かるのか」とは言い出さない、という対比図

② 見ていたものが違った

クロさんが見ているのは、僕のパソコンの中にあるソースコードなんだそうです。

仕事用のほうが見たのは、インターネットに公開されて、検索エンジンから見えている状態のサイトでした。僕のブログのアドレスを開きにいって、robots.txtが無いことを確かめ、ページの中身を数えて「画像は0枚」と出してきました。

これは僕がやったことではありません。向こうが勝手に見にいって、数字で出してきたのです。

同じサイトなのに、片方には見えて、片方には見えない。そういうことがあるんだと、このとき初めて知りました。

③ タイトルを一覧で並べる機会が、一度もなかった

これが一番腑に落ちました。

「1記事ずつ書く」を13回繰り返すと、タイトルを横に並べて眺める瞬間が一度も来ない、と言われました。

1本ずつ見れば、どれも悪くないタイトルです。並べて初めて「全部エッセイだ」と分かる。僕もクロさんも、13回とも1本ずつしか見ていませんでした。

「1記事ずつ書く」を13回繰り返すと、タイトルを横に並べて眺める瞬間が一度も来ない。1本ずつ見ればどれも悪くないタイトルだが、13本を並べて初めて「全部エッセイだ」と分かる、という図

④ 目的が伝わっていなかった

たぶん、これが根っこです。

クロさんは「ブログを作る」が目的だと理解していた、とのことでした。「アドセンスとアフィリエイトで稼ぐ」が最上位のゴールだと、僕は一度もはっきり伝えていなかった。

アフィリエイトのほうは、前から知っていました。それで稼ぎたいとも思っていました。

ただ、「アドセンス」という言葉を知ったのは、つい一昨日です。収益化の話をさんざんしておいて、片方は名前すら知らなかったわけです。

頭の中にあっただけで、口に出したことは一度もありませんでした。

伝わっていれば、タイトルを付けるたびに検索を意識したはずだ、と言われました。

クロさんが理解していた目的は「ブログを作る」。頭の中にあった最上位のゴールは「アドセンスとアフィリエイトで稼ぐ」で、アフィリエイトは前から知っていたがアドセンスは言葉を知ったのがつい一昨日。頭の中にあっただけで、口に出したことは一度もなかった、という図

前編はここまで

目的を一度も伝えていなかったこと、アドセンスという言葉すら知らなかったこと。分かったのは、ここまでです。

ただ、分かっただけでは同じことを繰り返します。

後編は、そこで思いついた「もう一人呼ぶ」という話からです。

後編へ続く

第5話(後編)AIに「褒めるな」と言う監査役を、自分で作った話